西宮市のみなさん、こんにちは。
私たち「日本管財・文化律灘・HA2B共同事業体」が、西宮市フレンテホールの指定管理者として施設運営に携わるようになって3年目の春を迎えました。
その間、大阪北部地震や新型コロナウイルス感染症など、人命そのものや人間の社会活動が脅かされる事態にも直面し、施設の閉館を余儀なくされることもありました。
そのたびに繰り返し、こう問い直すのです。「公立の文化施設は何のために存在するのか」
答えの前に別の問いかけをしてみましょう。
自然災害など非常事態が発生したとき、災害そのものの怖さとは別に、人間の怖さを垣間見ることが増えたように感じませんか?
立場や意見の異なる他者に対する、あまりにも利己的で暴力的な、憎悪にも似た罵りの数々。
そういったことの原因はもちろん複合的なものですが、そのひとつとして共感力の欠如が挙げられると私たちは考えます。
相手の立場に立って考え、心情を察し、そこから一歩踏み込んで共感することができれば、非常事態の際の“ギスギス感”に起因するストレスは、もう少し軽減されるのではないでしょうか。
アダム・スミスによれば、共感力の源泉は想像力です。そして、想像力を大いに刺激するものの代表格はアートだ、と言い切っても間違いではないでしょう。
美しいもの、心地よいものだけではなく、醜いもの、厳しいものであっても、その表現に至った背景に思いを馳せ、何かを感じ取ることができます。
人間は自らが表現したり、表現されたものを鑑賞して感じ取ること -アート体験- を通して、知らず知らずのうちに想像力を身につけていく生きものだと思うのです。
ここで最初の問いに戻ります。「公立の文化施設は何のために存在するのか」
私たちの答えはこうです。
「何かを表現したいすべての人が表現でき、鑑賞したいすべての人が鑑賞できる。そういったアート体験を支援し、保障するために存在する」
これは、何年経とうが変わらない信念として、これからも心に刻み込んで、運営に携わってまいります。
みなさん、今後ともどうぞよろしくお願いします。
2020年4月1日
西宮市フレンテホール 館長 衣川大輔
西宮市フレンテホールは、ゆとりやうるおい、生きがいのある市民生活を創造し、こころ豊かな、活力ある地域社会を醸成するとともに、芸術文化の発展、振興に寄与することを目的に1994年4月に開館。300席のホールや練習室・多目的スペースを管理運営し、地域住民が利用する場として提供するほか、コンサートや演劇などの舞台芸術や展示イベント、セミナー・ワークショップなどの自主事業に加え、個人団体を問わず地域の相談にも対応するなど、地域や社会が抱える様々な課題の解決に取り組んでいきます。施設に留まらない公立文化施設として地域に寄り添った運営を行います。
館長 | 衣川 絵里子 |
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副館長 | 衣川 大輔 |
ディレクター | 岡野 亜紀子 高森 真木子 村山 裕希 |
アシスタントディレクター | 徳山 舜介 青栁 怜奈 村上 和帆(留学中) |
スタッフ | 江村 恵美子 宇保 深雪 川畑 麻美 |
保安警備 | 阿部 宏哉 大野 廣和 柴田 喜貞 |
舞台マネージャー | 西尾 竜司 内海 里咲 |
音楽、演劇、舞踊、講演会など、幅広いジャンルの演目に対応できる、昇降式舞台を備えた多目的ホールです。300席の客席を設け、可動式客席を収納するとパーティー会場やダンスフロアとしても使用できるなど、舞台や客席の形態を変えることで使用目的に合った空間を構成します。
壁の一面がガラス張り、もう一面が鏡張りの開放感あふれる練習室です。スクール形式の机と椅子、グランドピアノが常設。防音構造となっており、簡易PAセット、スポットライト、移動式ダンスバーなどを備えていますので、音楽や演劇、ダンスなどの練習だけではなく、ちょっとしたライブスペースとしてもご利用いただけます。もちろん会議や講習会にも最適です。